お小遣い制の戦士たちへ、森への招待状
毎日、満員電車に揺られ、終わりの見えないタスクと人間関係に心をすり減らしていませんか?
家に帰れば良き父、良き夫としての役割が待っています。もちろん家族は大切ですが、ふとした瞬間に「自分だけの時間」が無性に恋しくなること、ありますよね。
そして、我々サラリーマンキャンパーにとって最大の壁となるのが「お小遣い制」という厳しい現実です。
高規格なキャンプ場で、至れり尽くせりのグランピング体験…なんて贅沢は、今の私には夢のまた夢。私たちが真に求めているのは、もっと切実で、もっと野性的な「解放」ではないでしょうか。
限られた予算の中で、誰にも気兼ねなく、ただ焚き火の炎を見つめていたい。便利な設備なんていらない。むしろ、過剰な便利さが私たちの「生きる力」を鈍らせているのかもしれません。
そんな飢えた心を抱えて私がたどり着いたのが、茨城県にあるプライベート野営地。その名も「Freedom(フリーダム)」です。
名前からして、今の私たちの心にこれほど響く言葉があるでしょうか。
ここは、いわゆる「キャンプ場」ではなく「野営地」です。
そして驚くべきは、その価格設定。初回利用料は2000円ですが、一度利用すれば次回からはなんと「1000円」。
この物価高の時代に、野口英世一枚で一晩の自由が手に入るのです。この圧倒的なコストパフォーマンスは、お小遣い戦士にとって最強の味方であり、まさに最後の砦と言えるでしょう。
今回は、不便さを愛し、自由を謳歌するためのキャンプ場を紹介します。
秘密基地への入り口:あの看板を見逃さないで
車を走らせること数時間。茨城の牧歌的な風景が広がり始めると、徐々に心臓の鼓動が高鳴っていくのがわかります。カーナビが目的地周辺を示したあたりで、私はアクセルを緩めました。
「隠れ家」と呼ぶにふさわしい場所というのは、得てして入り口が分かりにくいものです。舗装された道路から、ふと森へと続く砂利道が現れます。

Googleマップだけを頼りにしていると、うっかり通り過ぎてしまいそうなその場所。でも、私たちは見逃しません。
ふと視線をやった杉の木の幹に、それはありました。
黒板に手書き風の文字で書かれた『Freedom 〜プライベート野営地〜』の看板。

木の幹にラフに括り付けられたその看板を見た瞬間、少年時代に秘密基地を見つけたときのような、あの「ワクワク感」が爆発的に湧き上がってくるのを感じました。「ここを左折すれば、もうそこは日常ではない」というスイッチが入る瞬間です。
砂利を踏みしめるタイヤの音だけが響く林道を進んでいきます。鬱蒼とした杉林が両脇から迫り、外界からの視線を遮断していくこのアプローチだけで、もう元は取れたような気分になるから不思議ですよね。
「不便」こそが最高のおもてなし
坂を下っていくと、そこには広々とした空間が待っていました。

過度な整地はされていませんが、キャンパーが過ごしやすいように手入れされた砂利と土の地面。適度に残された木々がプライベート感を演出しつつ、空を見上げれば木漏れ日と青空が覗きます。
ここで、皆さんに最初に覚悟しておいていただきたいことがあります。
この「Freedom」には、電気がありません。そして、水道もありません。
「えっ、トイレの水も? 飲み水も?」と不安に思う方もいるかもしれません。
そうなんです。蛇口をひねれば水が出るという日常は、ここには存在しません。必要な水はすべて自分で持ち込む必要があります。ポリタンクに詰め込んだ水が、ここでは命の次に重い資産となるのです。
しかし、これを「不便だ」と嘆くのは無粋というものでしょう。
電気がないからこそ、ランタンの灯りのありがたみが身に沁みます。水道がないからこそ、一滴の水すら無駄にしない工夫が生まれます。
「自分で賄う」。
このシンプル極まりないルールこそが、普段会社という組織の歯車として生きる私たちに、忘れかけていた「生きる力」を思い出させてくれるのです。全てを自己完結させる達成感。これこそが、1000円で手に入る最高の贅沢ではないでしょうか。
無骨な薪の山と格闘する悦び
車を停め、フィールドを散策していると、至る所に黄色や青のコンテナが積まれていることに気づきます。近づいてみると、そこには無造作に、大量に積まれた薪の山がありました。


そう、ここは薪を自由に使っていい(使い放題)のです。
昨今のキャンプブームで、薪の値段も高騰していますよね。一束数百円、下手をすれば千円近くすることもあります。一晩中焚き火を楽しもうと思えば、薪代だけで数千円が飛んでしまうことも珍しくありません。それが、ここでは利用料に含まれているのです。オーナーの太っ腹な心意気に、思わず目頭が熱くなります。
暗闇に光る一条の安心感:トイレ事情
「不便を楽しむ」とは言ったものの、やはり気になるのがトイレ事情ですよね。
特に、水がない場所でのトイレというのは、衛生面で不安を感じる方も多いはずです。正直、私も最初は少し構えていました。
しかし、その不安は良い意味で裏切られました。
森の一角に設置された仮設トイレ。外観こそ工事現場などでよく見るタイプですが、男女別に分かれている点にまず配慮を感じます。
そして、恐る恐るドアを開けてみると…そこには、驚くほど清潔に保たれた空間がありました。

綺麗に掃除された和式の便器。予備のトイレットペーパーもしっかり(しかも2個)と完備されています。「紙がない!」という絶望とは無縁です。
さらに驚いたのは、個室内にライトが設置されている(しかも点灯する!)ことです。

電気がない野営地において、夜のトイレは恐怖そのものです。ヘッドライトの明かりだけを頼りに、暗闇の中で用を足す心細さ…。しかし、ここでは明かりが灯ります。この小さな明かりが、どれほどの安心感を与えてくれることか。
オーナーさんは、ただ放置しているわけではありません。本当に必要なライン、「ここだけは押さえてほしい」というキャンパーの心理を完璧に理解してくれています。このトイレを見たとき、私はこの野営地への信頼を確信しました。
【撤収の味方】灰捨て場もしっかり完備
撤収時、我々キャンパーを悩ませるのが「燃え残った薪や炭の処理」です。 火消し壺に入れて持ち帰るのは荷物になるし、完全に鎮火しているか不安になることもありますよね。
でもご安心ください。ここ「Freedom」には、しっかりとした灰捨て場が用意されています。

サイトの一角に掘られたスペースがあり、スコップも備え付けられています。また、そばには水が入ったポリタンクも置かれており、安全面への配慮もバッチリ。 「来た時よりも美しく」。 焚き火の始末をこの場で完結させてから帰れるというのは、物理的にも精神的にも荷が軽くなり、本当に助かるポイントです。
「どこに張る?」究極の選択を迫られるサイト選び
トイレの清潔さに安心したところで、いよいよ本日の「寝床」を決める時間がやってきました。
Freedomのサイト構成は、大きく分けて2つの性格を持っています。この選択が、今日一日の運命を決めると言っても過言ではありません。

赤色:規格サイト(4区画)
黄緑色:野営サイト(A~C)
水色:駐車場
✅(北側):女子トイレ
✅(南側):男子トイレ
① 手軽さと星空の特等席「規格サイト」(赤枠エリア)
まず目に入ってくるのが、開けた広場にある赤い枠の「規格サイト」です。
ここは全部で4区画。最大の特徴は、車の乗り入れがOK(オートキャンプ可能)であること。

荷物の積み下ろしが億劫な方や、車中泊と組み合わせて楽しみたい方には天国のような場所です。
頭上を遮るものがないため、晴れた夜には満天の星空を独り占めできるのもこのエリアの特権。
さらに、この4区画の中には「竹の囲い」で覆われた特別な1区画が存在します。

広々とした開放感がありながら、周囲の視線を適度に遮ってくれるプライベート空間。ここはまさに「野営地のVIP席」。もし空いていたら即決レベルの人気スポットでしょう。
② 野性を呼び覚ます「森林サイト」(黄緑枠エリア)
そして、私のような「不便愛好家」の魂を揺さぶるのが、木々に囲まれた「森林サイト」です。
ここは車の乗り入れこそできませんが、その分、圧倒的な「自然との一体感」が約束されています。
耳を澄ませば、風が木々を揺らす「ザワザワ」という音と、鳥のさえずりだけ。車の走行音などの人工的なノイズはほとんど聞こえません。
所々に平地にならされたスペースが点在しており、大型のファミリーテントは厳しいですが、ソロやデュオ(2人)用のテントなら問題なく設営可能です。
この森林サイトも、場所によって表情が異なります。

エリアA(道挟んで山側)
メインのエリアから道を一本挟んだ場所に位置するため、静けさは随一。「とにかく誰にも邪魔されたくない」「孤独を愛したい」という玄人好みの隠れ家スポットです。デメリットは男性トイレへは少し離れています。

エリアB(駐車場寄り)
トイレや駐車場(水色枠)が近く、荷運びの労力を最小限に抑えられるバランス型。森の雰囲気は味わいたいけれど、体力は温存したいというクレバーな選択肢です。

エリアC(展望エリア)
そして、奥に位置するエリアC。ここは視界が抜け、展望が楽しめる場所。ここから拝む「朝日」こそが最強のご褒美✨木々の隙間から差し込む光の筋が、まるでスポットライトのようにテントを照らします。


まとめ
ここを利用すると、財布の中身はほとんど減っていません。しかし、心の中の「活力タンク」は満タンです。
電気も水道もない。そんな「不便」を自分の知恵と工夫で乗り越え、快へ成立させる体験。
それは、会社や家庭という守られた環境の中で忘れかけていた、「一人の人間としての強さ」を思い出させてくれる旅になります。
茨城の森の中にある秘密基地「Freedom」。
初回2000円、次回からは1000円。
この価格で手に入るのは、単なる宿泊場所ではなく、失いかけた自分自身を取り戻すための「自由な時間」なのかもしれません。
施設情報まとめ
- 施設名:Freedom 〜プライベート野営地〜
- 場所:茨城県(詳細な場所は予約時等の看板を目印に)
- 料金:初回2000円 / 2回目以降 1000円(会員制)
- 設備:
- 電気・水道なし(要持参)
- トイレあり(男女別・簡易水洗・ライト付き・ペーパーあり)
- 薪使い放題(要工夫・乾燥甘め)
- 灰捨て場あり
- サイト:
- 規格サイト(オートキャンプ可・星空・直火不可竹囲いあり)
- 森林サイト(ソロ/デュオ向け・直火OK・静寂)
- 予約・連絡先:Instagram(@yasuki0719)へDM
※本記事は執筆時点の情報に基づきます。利用時は最新のルールを守って楽しみましょう。
【Freedom攻略】不便を「快適」に変える「四種の神器」
Freedomは最高だ。1000円でこの自由が手に入る場所はそうそうない。 しかし、忘れてはいけない。ここは「電気なし・水道なし」のガチ野営地です。
準備不足で挑めば、暗闇と水不足でせっかくの癒やしの時間が「ただの苦行」になりかねない。逆に言えば、「ここさえ押さえておけば、1000円のキャンプ場が1万円の高規格サイトに化ける」という重要アイテムがあります。
限られたお小遣いでも絶対に揃えておくべき、Freedom攻略のための「四種の神器」を紹介します。
✅暗黒の森を制す「USB Type-C充電式ヘッドライト」
ここの夜は漆黒だ。乾電池式はランニングコストの無駄。スマホと同じケーブルで充電できるこれなら、車内充電のみで運用可能。両手が空けば調理、薪割り、トイレもストレスフリーになります。
✅ポリタンク
水道がないここでは水=命。20Lは重すぎて腰をやる。10Lが片手で持てる限界かつ必要十分な「正解サイズ」。無骨カラーを選べばサイトの雰囲気も壊しません。
✅折りたたみステップ
実はこれが最強の裏技。ポリタンクを地面に置くと注ぎ口が低くて使いにくい。この台に乗せるだけで高さが生まれ、一瞬で「簡易水道」が完成する。数百円で文明的な生活が手に入ります。
✅アウトドアカート
雰囲気最高の「森林サイト」は車の乗り入れ不可だ。手運びで体力を消耗するな。砂利道も木の根も踏破できる「太いタイヤ」のワゴンがあれば、搬入が一瞬で終わる上に、そのままサイトの荷物置き場にもなります。

